キム・ジョンウン総書記が正式に北朝鮮の最高指導者に就任してから今週で10年になることから、弾道ミサイルの発射などが行われる可能性があるとして、各国が警戒を強めています。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、今月のカレンダー、あしたの13日に丸印がついていますが。
A1、キム・ジョンウン氏は10年前のこの日、国防委員会と呼ばれていた組織のトップに就任し、軍、党、政府すべての頂点に立ちました。
ジョンウン氏にとってあす(13日)は正式に北朝鮮の最高指導者になって10年
の節目の日となります。
さらにその2日後の15日も北朝鮮にとっては大切な日です。
キム総書記のおじいさんで、建国の父とされる故キム・イルソン主席の誕生日。
しかもことしは生誕110年という節目です。
Q2、それで弾道ミサイルの発射などがあるのではないかと警戒されているのですね。
A2、北朝鮮は先月、アメリカ本土を射程に収めるICBM=大陸間弾道ミサイルの発射に踏み切っています。こうした節目の日に合わせて再び発射する可能性は十分あると思います。それだけではありません。核実験を再開する可能性も指摘されています。北朝鮮は5年前の核実験の後、対話路線に転じ、坑道を爆破する様子を外国メディアに公開しました。しかし最近その坑道を修復しているような動きが衛星写真によって捉えられているのです。ICBM発射に加えて核実験まで再開されれば朝鮮半島情勢はいっきに緊迫化することになるでしょう。
Q3、北朝鮮のこうした動き、ウクライナ情勢も関係しているのでしょうか?
A3、無関係とは言えません。アメリカはロシアとの全面戦争になるのを恐れて直接の軍事介入を見送りました。「ロシアのように核兵器さえあれば攻撃されることはない」と北朝鮮はたかをくくっているでしょうし、今のうちに核・ミサイル開発を進めておこうという思惑もあると思います。
今月はアメリカ軍と韓国軍による合同軍事演習が予定されていますし、来月10日には、北朝鮮に厳しい姿勢を示している韓国の新政権が発足します。今週は特に北朝鮮の動きに警戒が必要です。
(出石 直 解説委員)
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