原油価格や物価の高騰を踏まえた緊急対策をめぐり、自民党と公明党の考え方に溝が生じています。
Q)両代表は、緊急対策をめぐって綱引きをしているのですか?
A)対策の財源をどうするかということです。
自民党は、今年度予算に盛り込まれている予備費を活用する考えです。これに対し、公明党は、夏の参議院選挙の前に新たに補正予算を成立させることを強く求めています。こうした両党の溝は、選挙に向けてどちらが得策か捉え方の違いからも生じているようです。
Q)どういうことですか?
A)自民党には、補正予算が選挙に不利に働くのではないかという懸念があります。
参議院選挙を控えた今国会は日程的に余裕がなく、仮に補正予算案の編成に時間がかかれば、選挙の直前に野党に追及の場を与えることになります。それならば、予備費を使ってできるだけ早く対策を打ち、コロナの状況やウクライナ情勢を見極めた上で、選挙の後に本格的な補正予算を成立させた方が良いという考えです。
また、補正予算の成立後に臨んだ過去の国政選挙では何度も苦戦してきたので、「できれば避けたい」という心理も働いているようです。
Q)では、公明党はどうして選挙の前なのですか?
A)公明党は、補正予算を財源とするより大規模な経済対策を掲げて選挙に臨みたいのです。十分な対策をアピールしようにも財源が予備費だけでは足りないという考えなのです。
Q)なかなか難しそうですね?
A)先行きは見通せません。自民党内にも選挙前に補正予算が必要だという意見があるからです。
岸田政権の発足後、自公は、参議院選挙に向けた選挙協力がなかなか整わないなどギクシャクする場面が目立ちます。原油価格の高騰対策では野党の国民民主党も含めて協議を行うなど複雑さも増しています。そして今回は財源です。これを両党がどう決着させるのか、注目です。
(権藤 敏範 解説委員)
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