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ウクライナ避難民 受け入れの課題

二村 伸  解説委員

ロシアの侵攻から逃れたウクライナの避難民20人が5日、政府専用機で日本に到着しました。日本に来たウクライナの避難民はすでに400人をこえています。

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●支援の手がたくさん上がっていますね。

3日までに入国した人は404人で、日本に家族や知人のいる人たちですが、5日政府専用機で来日した人の中には日本に身寄りのない人もいます。そうした人たちには国の委託を受けた難民事業本部がホテルの手配をはじめ生活の支援を行い生活費も支給します。また、全国の自治体と企業、NGOなどが申し出た住居や雇用、就学会などの支援は700近くに上っています。日本語学校は、ウクライナで日本語を学んでいた学生に勉学を継続してもらおうと11校であわせて100人の受け入れを表明し、330人もの応募がありました。このようにかつてない積極的な支援の動きが全国に広がっています。

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●遠い日本での生活に不安を持つ人もいるのではないですか。

最大の問題は言葉の壁です。難民の場合は半年あるいは1年間研修を受け、日本語教育や就労の指導が行われますがそれでも足りません。避難民への具体的な支援内容はこれから詰めていきますが、国と自治体、企業、NGOの連携が不可欠で、地域社会が一体となった取り組みが求められます。また、ウクライナの人たちが祖国に戻ることができるようになるまでには時間がかかることも予想され、長期化に備えた支援も今後の課題です。そしてこれを機にウクライナ以外の避難民への支援の輪も広がってほしいと思います。

●ウクライナ以外とはどんな人たちでしょうか。

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ミャンマーやアフガニスタンなどアジアや中東、アフリカから逃れてきた人たちです。アフガニスタンからは2月末までに570人入国しましたが、国の支援を十分受けられず家や仕事探しに苦労している人が少なくありません。タリバンに追われ日本への避難を希望しながらビザが出ない元留学生なども大勢います。日本に貢献してくれた人や日本で学び日本を第二の故郷と見なすアジアなどの人たちにも目を向けてほしいという声に応えることができるかも問われています。

(二村 伸 解説委員)


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