原油価格が高騰するなか、国会では、自民・公明両党に野党の国民民主党を加えた政策協議が行われています。
Q)このイラストは、「トリガー条項」をめぐって与党と国民民主党が協議していますが、異例のことですよね?
A)トリガー条項は、国民民主党が野党ながら新年度予算に賛成するという異例の対応をとってまで求めたものです。ガソリン税を引き下げる仕組みで、発動すれば1リットルあたりおよそ25円安くなります。夏の参議院選挙に向けて政策実現力をアピールするために、何としても勝ち取りたいのです。
Q)与党側はどうなのですか?
A)協議は歓迎していますが、思惑はそれぞれ違います。
自民党は、国民民主党を引き込むことで野党の分断をはかっておきたい。参議院選挙の1人区での候補者一本化に向けた調整にも楔を打ち込みたいのです。
公明党は、一定の組織票が見込める国民民主党が自民党に近づきすぎれば、存在感や影響力が低下しかねないという懸念もあったとみられます。
Q)三者三様ですが、トリガー条項の凍結は解除されそうですか?
A)先行きは不透明です。というのも、トリガー条項には多くの課題があるからです。仮に、今の制度のまま発動すれば、ガソリン価格が一気に下がるので、それまでの間買い控えが起きたり、再び価格が上がる前には駆け込み需要が生じたりするなど市場の混乱を招きかねません。地方にとっても税収が1年で5千億円以上減るとされ、財源の手当ても必要になります。政府がすでに支給している石油元売り会社への補助金の方が効果があるとして、制度の見直しを求める声もあります。
また、国民民主党は追加の経済対策も求めており、この3党の協議が憲法やほかの重要政策にまで広がるのか。さらに参議院選挙での協力や、はては与野党の枠組みの変化につながる引き金となるのか、協議そのものの行方にも注目です。
(権藤 敏範 解説委員)
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