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宇宙作戦‟群„発進

田中 泰臣  解説委員

自衛隊に宇宙を監視することを主な任務とする宇宙作戦群という組織が発足しました。

Q)作戦群と言っても字は、「群」なのですね?

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A)この「群」は英語で言うとグループで航空自衛隊は複数の隊を束ねる際に群としています。宇宙作戦隊というのがすでにあるのですが、そこに人材育成などを担う部隊が新設され、総称して宇宙作戦群となります。宇宙の状況監視を主な任務とする予定で、それに向けた体制強化です。

Q)宇宙を見張るのが任務ということですね?

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A)そうです。地上のレーダーや人工衛星などを配備し、いわゆる「宇宙ごみ」や不審な衛星を監視するというもので、訓練などを経て再来年度から本格的に実施する予定です。

Q)「宇宙ごみ」を監視する必要があるということですか?

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A)役目を終えた衛星やロケットの部品など、宇宙ごみは2万個以上あるとされ、人工衛星に衝突する危険性が報告されています。また不審な衛星と言えば、中国やロシアは、衛星で衛星を攻撃する「キラー衛星」を開発しているとされています。防衛省は安全保障に関わる衛星に危険が迫っていないかを監視して運用する機関に情報提供し、必要なら避けるよう促すことを目指しているのです。

Q)それだけ衛星を守ることが安全保障上、重要だと考えているのですね?

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A)はい。通信衛星や画像収集衛星は自衛隊のオペレーションに欠かせませんし、艦艇の位置把握にはアメリカのGPSも使われています。去年11月、ロシアはミサイルによる人工衛星の破壊実験を行い、これは有事の際に敵の衛星を破壊するためという見方があります。ロシアのウクライナ侵攻で、アメリカなどとの対立がかつてないほど深刻化し、宇宙を舞台にした緊張が高まる可能性は十分に考えられます。防衛省は、宇宙でも専守防衛を貫きながら、宇宙への「目」を開き、脅威の「芽」を摘む体制を整備できるかが課題となります。

(田中 泰臣 解説委員)

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