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ロシア 迫るデフォルト危機 背景と影響を解説

櫻井 玲子  解説委員

ウクライナへの侵攻により日米欧の経済制裁を受けているロシアが、デフォルト・債務不履行に陥るのではないかという見方が強まっています。
その背景や日本への影響について櫻井解説委員です。

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Q1 ロシアが世界中の投資家にだいぶ追い詰められているようですね? 

A1 はい、ロシアが国債を発行して海外から借りたおカネ、これを期限までに返せなくなる「デフォルト」の状態に近づいています。今週16日を手はじめに、ドル建ての国債やユーロ建ての国債の利払い期限が次々に迫っていますが、ドル建ての国債はドルで、ユーロ建ての国債はユーロで返すのが原則です。ところが、ロシアはウクライナに侵攻したことへの経済制裁により、ドルやユーロといった外貨を事実上、使うことができません。大手格付け会社はロシア国債の格付けを一斉に「デフォルト一歩手前」ともいえる水準にまで引き下げています。

Q2 ロシアはデフォルトを回避できるのでしょうか。

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A2 プーチン大統領は、ドルやユーロのかわりに自国通貨のルーブルで支払う。しかも、ロシアが決めた為替レートで支払いをする、という方針を発表しています。ただ実際には、価値が急落しているルーブルでの返済を海外の投資家に認めてもらうのは難しそうです。16日の支払い期限には1か月の猶予がつきますが「遅かれ早かれデフォルトは避けられない」というのが大半の専門家の見方です。デフォルトとなれば、国の信用は失われ、国債は紙くず同然に。ルーブルはさらに暴落してインフレがすすみ、人々を苦しめることになります。

Q3 日本にはどのような影響が考えられるのでしょうか。

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A3 ロシア向けの日本の融資は官民あわせて1兆円前後にのぼりますが、デフォルトによる混乱や制裁の影響が長引けば、資金を回収できないおそれもあります。ここまで積み上げてきた日ロ経済協力も、水の泡になりかねません。
ロシアはこのままでは、経済がたった1年で10パーセントも縮小する見込みで、侵攻前の水準まで回復するのに数年はかかるかもしれない、という指摘もあります。
ウクライナへの侵攻でロシアは自らが失っているものを考え、すぐさま、停戦してほしいと思います。

(櫻井玲子 解説委員)


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櫻井 玲子  解説委員

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