韓国の大統領選挙の投票が先ほど午前６時から始まっています。接戦が伝えられる今回の選挙、その焦点について出石 直（いでいし・ただし）解説委員です。
Q1、今回の選挙、焦点は政権交代ということですが。
A1、革新政権の継続を訴える政権与党のイ・ジェミョン（李在明）候補と、政権交代を訴える最大野党のユン・ソギョル（尹錫悦）候補。この２人が激しく争っています。韓国では、保守と革新が政権交代を繰り返してきました。
イ・ジェミョン候補が勝利して革新政権が続くのか、それともユン・ソギョル候補が勝って５年ぶりに保守が政権を奪還するのか、これが最大の焦点です。
事前の世論調査では、国民の半数以上が「政権交代を望む」と答えています。
Q2、ということは政権交代を訴えている野党のユン候補が優勢ということなのでしょうか？
A２、確かに野党側には勢いがあります。終盤になって同じく政権交代を訴えていた第３の候補アン・チョルス氏が選挙戦から撤退し、ユン候補の支持に回りました。
野党候補の一本化はユン候補にとっては追い風です。
しかしだからといってユン候補が絶対有利とは言えないのが、今回の選挙の難しいところなのです。
Q3、一本化したのに野党有利と言い切れないのはどうしてなのですか？
A3、政権交代を求めている人がみなユン候補に投票するとは限らないからです。
対する与党のイ・ジェミョン候補は、政権交代ではなく“政治交代”という言葉で支持を訴えています。
選挙戦では「不動産価格が高騰したのはムン政権の責任だ」と、与党候補にも関わらずムン政権を手厳しく批判してきました。イ候補は、前回の大統領選挙でムン・ジェイン大統領と革新系候補の指名を争った人で、もともとムン政権とは距離を置き、いわば“与党内での野党”のような立場です。
このため今のムン政権に不満を抱いている人達の中にも、与党のイ候補に投票する人が少なからずいるのではないかとみられているのです。
政権交代か“政治交代”か。変化を求める有権者の心をつかむのはどちらの候補なのか。新しい大統領は今夜遅くまでには決まる見通しです。
（出石 直 解説委員）
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