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小選挙区「10増10減」見直し求める声も

権藤 敏範  解説委員

衆議院選挙の小選挙区の「10増10減」に向けて、政府の審議会は、2日から具体的な区割りの作業に入る見通しです。

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Q)このイラストは、いよいよ具体的な線引きが始まるということですね?
A)衆議院選挙の各都道府県に割り振られる小選挙区の数は、法律によって、おととしの国勢調査の結果にもとづき、東京など5つの都と県であわせて10増え、10の県で1つずつ減る「10増10減」となります。
政府の審議会が2日から行うのは、いわゆる1票の格差が2倍未満となるよう小選挙区の境界を変える具体案をつくる作業です。

Q)これに対し、審議会の外も何やら騒がしくなっていますね?

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A)「10増10減」が実現すれば、「地方の声が届かなくなる」として、自民党の有志の議員が、より民意が適切に反映されるよう選挙制度そのものを見直すべきだとしているのです。
背景には自民党の事情もあります。選挙区が減る10県は、自民党の地盤が厚くベテラン議員も多くいます。特に山口など4県は県内の小選挙区を自民党が独占しており、候補者調整の難航も予想されます。

Q)ただ、選挙制度の変更は難しくありませんか?

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A)簡単ではなさそうです。もともと「10増10減」を決めた法律は自民・公明両党が提出したもので、与党内には「粛々と実施すべき」という意見も多くあります。自ら決めたルールを1度も使わずに変えれば「政治不信を招く」という指摘もあります。

Q)今後、どうなりそうですか?
A)与党の公明党、野党の立憲民主党は、「10増10減」を法律通り実施すべきという立場です。日本維新の会は見直しの動きを「私利私欲」と批判しています。
審議会の区割り作業が本格化する一方で、「10増10減」をどう取り扱うか、各党の動きに注目です。

(権藤 敏範 解説委員)


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