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犬・猫マイクロチップ義務化へ コロナ禍のペットは?

土屋 敏之  解説委員

◆6月から犬と猫にマイクロチップを装着することが法律で義務づけられる

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童謡「いぬのおまわりさん」では、迷子の子猫におうちや名前を聞いてもわからなくて、犬のおまわりさんが困ってしまう、という歌詞がありましたが、今回のマイクロチップ義務化の理由のひとつがこうしたことです。
 マイクロチップは長さ1センチ・直径2ミリ程の電子器具で、これに飼い主の連絡先などとひもづける識別番号が記録され皮膚の下に注射のようにして埋め込みます。これによって、例えばペットが迷子になって保護された時などにも、リーダーで読み取ることで飼い主がわかり帰せるようになります。
また、飼い主がペットを捨ててしまうことへの抑止効果も期待されています。迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られる犬と猫は年間7万匹以上と、対応が課題になっています。

◆具体的にはどんなルールに?

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24日に国の有識者会議で具体案がまとめられました。まず繁殖業者やペットショップは、6月以降所有する犬と猫にマイクロチップを装着することが義務化されます。ただし、それ以前からいた犬猫には必須ではなく“努力義務”になります。
一方、購入する飼い主側は、これとひもづける連絡先などの情報を国のデータベースに登録することが必要になります。また、知り合いの個人などから犬や猫を譲ってもらうような場合はマイクロチップは必須ではありませんが、“努力義務”の扱いです。

◆今後の課題は?

マイクロチップは義務化についてはまだ知らない人も多く、ペットの健康に影響がないか不安に思う声もあるので、国は啓発に力を入れる必要があります。
コロナ禍で新たに犬や猫を飼う人が増える一方で、数が増えすぎて劣悪な環境になる「多頭飼育崩壊」や、ペットを捨ててしまうケースも後を絶ちません。生き物を飼う以上は最後まで責任があることをあらためて考える機会になればと思います。

(土屋 敏之 解説委員)


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土屋 敏之  解説委員

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