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原油高騰 米シェールオイル復活か?

櫻井 玲子  解説委員

原油価格の高騰が続く中、これまで停滞していた「シェールオイル」の生産に
アメリカの石油大手が再び、力を入れる方針を発表し、注目を集めています。
櫻井解説委員です。

Q 原油やガソリンが値上がりしているというニュース、最近多くなりました。

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Aそこで再び関心を集めているのがシェールオイル。地下深くの岩の層に閉じ込められた原油を取り出したものです。石油メジャー2社がその増産を表明し、世界の市場関係者の注目をひいています。というのもシェールオイルはアメリカが一時はサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になる原動力にもなったのですが、ここ2年ほどは大幅な増産や新たな投資が手控えられ、「シェールはもう終わりではないか」という声まで聞かれたほどだったんです。

Q 「シェールは終わり」・・・なぜそのように言われていたのでしょう?

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A 実は採掘などにかかるコストが高く、コロナ禍で原油が安くなると「採算がとれない」と撤退する企業が相次いだんです。
またその後、原油価格が上がっても、今度はバイデン政権が打ち出した脱炭素化政策の影響で、シェールオイルをもっと生産しようという機運に、なかなか、ならなかったんですね。

Q ところがその流れが今、変わり始めているんですね。

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A そうなんです。ウクライナ情勢の緊迫もあり原油の先物価格が7年4か月ぶりの高値水準をつけていること。そして脱炭素化を打ち出してきたホワイトハウスが一転、増産を要請していることが大きな要因です。ガソリンの値上がりに国民の不満が高まっていることが背景にあります。

Q 輸入に頼る日本にとっても気になる原油価格、これで少しは下がるのでしょうか?

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A こればかりは国際情勢次第ではありますが、来年にはアメリカの原油生産量が過去最高だった2019年を上回ると予想され、価格が徐々に安定していくことが期待されています。
一方で、アメリカが生産を増やすと、原油価格の高どまりを望む中東の産油国の生産が逆に鈍るのではないか?また脱炭素化の動きが世界的にも強まる中、シェールの増産はそう長くは続かないのではないか?という見方もあります。
原油価格の安定と脱炭素化の両立をどうはかるか。今後も、課題は残りそうです。

(櫻井 玲子 解説委員)

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