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新型コロナ感染者急増でも規制緩和 欧州では

二村 伸  解説委員

ヨーロッパでも新型コロナの感染者が急増していますが、イギリスなどでは規制を緩和する動きが見られます。

Q1.30万、20万という数字は感染者の数ですか?

その通りです。フランスでは1日の新規感染者数が先週36万人に達し、過去最多を更新しました。イギリスとイタリアも今月20万人をこえた日がありました。急増した原因はオミクロン株の流行と見られ、WHO・世界保健機関のヨーロッパ地域事務局長は11日、今後6週間から8週間、つまり早ければ来月後半にはヨーロッパの人口の半数以上がオミクロン株に感染する可能性があると警告しています。

Q2.それでも規制を緩和するのですね。

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はい。イギリスとフランスは入国後の隔離措置を廃止しました。市中感染が広がりもはや水際で食い止める段階ではないからです。ワクチン接種が進めばロックダウン・都市封鎖などの規制強化も必要ないとして、濃厚接触者もワクチン接種済みであれば自主隔離の必要はありません。イギリスは入国前のPCR検査の陰性証明も不要です。

Q3.ジョンソン首相は規制が行われていたさなかにパーティーに参加したことで批判を浴びていますね

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第1波に見舞われロックダウン中だったおととし5月、首相官邸の庭で開かれたパーティーに参加していたことを認め謝罪しました。首相官邸では別のパーティーが開かれていたことも次々と明らかになり、野党は「パーティーは終わった」と首相の辞任を要求、与党内でも批判の声があがっています。世論調査で辞任を求める声は6割をこえ、首相就任以来最大の窮地に陥っています。また、フランスでもマクロン大統領が、ワクチン接種を拒否する人は「無責任」だとした上で大統領にふさわしくない品のない言葉を使い、選挙を前に強い反発にさらされています。
両国とも3回目の接種を2回目から3か月後に前倒しし、ワクチンで危機を乗り切ろうとしていますが、これ以上民意が離れてしまえば新型コロナ収束まで国を牽引するのは容易ではなさそうです。

(二村 伸 解説委員)


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二村 伸  解説委員

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