韓国では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、医療崩壊の危機に瀕しています。なぜこんなに急速に感染が広がったのか出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、ムン・ジェイン大統領、困った表情ですね。
A1、韓国では、新型コロナウイルスの新規感染者数が7500人近くに達していて過去最高に迫る勢いです。重症患者用の病床の稼働率も80%前後と医療の逼迫が続いています。
Q2、韓国は新型コロナ対策が進んでいたはずではなかったのですか?
A2、ドライブスルー方式のPCR検査やスマートフォンのアプリを利用した感染者の追跡など進んだ感染防止策がとられていました。ワクチン接種も日本とほぼ同じ頃に始まり、18歳以上では90%以上がすでに2回目の接種を済ませています。
Q3、それにも関わらず、こんなに感染が拡大してしまったのはどうしてなのでしょうか?
A3、規制を緩和するのが早過ぎたからと専門家は指摘しています。ムン・ジェイン政権は先月、日常生活の回復を目指して段階的に規制を緩和するウィズコロナ政策に舵を切りました。先月1日からは飲食店などの営業時間の制限が解除され、私的な集まりの人数制限も緩和されました。ところがこれをきっかけに街の雰囲気はいっきに緩み感染が急拡大してしまったのです。第二弾の規制緩和は見送られ、先週からは飲食店などの営業時間も再び夜9時までに短縮されました。
ムン・ジェイン大統領は「病床の確保など準備が十分でなかった」と非を認め、ウィズコロナ政策の撤回に追い込まれました。
Q4、感染拡大に歯止めをかけることはできるのでしょうか?
A4、ムン政権は、60歳以上を対象にした3回目のワクチン接種を前倒して進めることで感染拡大に歯止めをかけたいとしています。しかし韓国でもオミクロン株の市中感染も確認され、じわじわと拡がっています。すぐお隣の国での感染の急拡大、私たちも感染防止に緩みがでないよう、ひとりひとり心がけていきたいものです。
(出石 直 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら