12月のNHK世論調査で、発足後上昇傾向にあった岸田内閣の支持率は50%とほぼ横ばいとなった。その背景を読み解く。
Q・岸田総理が正月を前に、一足早い凧揚げ。12月はあまり動きがなかったということか。
A・そういうことだ。内閣の政策にプラスとマイナスの両方の風が吹いていることが、支持の頭打ちに影響したとみられる。
プラスの風は、新型コロナ対応だ。新規感染者数が落ち着いていることもあり、政府対応への評価が6割を超え(64%)、中でも新たな変異ウイルス「オミクロン株」の水際対策として、外国人の新規の入国を原則停止したことに8割の人(81%)が評価し、支持を下支えしている。今後は3回目のワクチン接種を前倒ししたいという6割の人(60%)の声に、いかに応えるかがポイントとなるだろう。
Q・では、マイナスは。
A・経済対策への評価の低さだ。
現在国会で審議している過去最大、35.9兆円あまりの補正予算案の経済回復効果を「期待できない」(61%)が「期待できる」(33%)を大きく上回った。とりわけ予算案に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付を「評価しない」が6割を越えた(62%)。これは目的や効果に加え、現金とクーポンという方法にも批判や疑問もあるためで、岸田総理は13日、条件を付けることなく年内に全額現金で一括給付も容認すると方針の修正を迫られるなど、政権運営の火種となっている。
Q・対する野党、とりわけ代表が泉氏に代わった立憲民主党への支持はどうか。
A・代表交代後も支持は伸び悩み、自民党に大きく水をあけられている。
野党の役割として重要なのは何か聞いたところ、「政策の提案」が6割(61%)と、「政権の監視」(27%)を大きく上回った。ただ野党支持層では「監視」を重視する人が31%と比較的多い一方、働き盛りの40代、それから50代は「提案」を望む人が71%いるなど、政党支持や年代で温度差もある。
泉氏は党のイメージを「政策立案型」に変え支持を得たい考えだが、来年の参院選に向けて難しい判断、対応が続きそうだ。
(曽我 英弘 解説委員)
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