NHK 解説委員室

これまでの解説記事

コロナ禍で苦しむ低所得国への支援を

櫻井 玲子  解説委員

新型コロナウイルスの影響で、アフリカやアジアなどの、所得水準が低い国が、深刻な打撃を受けています。
そこでこうした国々を支援するための国際会議が、日本の働きかけで開かれます。
その背景について、櫻井解説委員です。

C211213_0.jpg

Q こちらのイラスト、低所得国が今にも倒れこみそうなのを、なんとか支えようとしていますね。

A そうなんです。コロナ対策の費用が膨らむ一方で、海外からの投資や収入が減り、低所得国と呼ばれる70あまりの国の多くで、資金が枯渇しているそうです。

C211213_2.jpg

このため、人々がマラリアなどの伝染病のワクチン接種も受けられなくなったり、極度の貧困に戻ってしまったりする状態が続いています。
また新たに930万人もの子供が、栄養失調に陥りそうだという報告もあります。
そこで、日本は、こうした国々を支援するための世界銀行グループの国際機関、「国際開発協会」の会合を、予定より1年前倒しで開催し、低所得国を支えるための資金を増やそう、と訴えてきました。
その結果、14日から2日間にわたって、日本主導でオンライン会合が開かれることになり、岸田総理大臣と鈴木財務大臣が各国に協力を呼びかける予定です。

Q コロナでどの国も苦しい中、どこまで賛同を得られるかが注目されますね。

A 日本は、自らも過去最大の出資金を拠出することを表明し、各国の理解を得たい考えです。
出資国全体で、日本円にして10兆円以上にのぼる支援をとりまとめようとしています。

C211213_4.jpg

Q 1年前倒しで会議を開くということはそれだけ切羽詰まった状況なんですね。
 
A はい。医療体制の崩壊や教育資金の枯渇といった危機的な状況に直面している国が多く、これを放っておけば、先進国が貧困撲滅のために何十年と積み上げてきた支援が、一瞬にして、水の泡になるおそれがあります。
なぜそこまでの支援をしなければならないのか?という声もあるかもしれませんが、コロナに苦しむ国でワクチンや治療薬の普及が滞れば、多くの命が失われるだけでなく、新たな変異種の出現を招く可能性もあり、ひいては私たち自身にも、影響が及ぶおそれもあります。
まさに「情けは人のためならず」。
助けが最も必要とされているこのタイミングに、必要な支援を届けてほしいと思います。

(櫻井 玲子 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

櫻井 玲子  解説委員

こちらもオススメ!