日帰りや地球周回など宇宙旅行が本格化する中、きょう、日本の民間人が初めて国際宇宙ステーションへ旅立つ。競争が激しくなる宇宙旅行ビジネスについて、水野倫之解説委員の解説。
今年は宇宙旅行元年と言われ、すでに4社の宇宙船で5回、18人の民間人が宇宙旅行。そしてきょう、実業家の前澤友作氏ら2人の日本人がロシアのソユーズで宇宙ステーションへと向かう。
旅行内容それぞれ違い、最もお手軽なのが、アメリカのベンチャー2社による日帰り旅行。
高度100キロ程度まで飛行し、数分間だけ無重力状態で地球を眺めた後、地上に帰還。
また9月に別のベンチャーが行ったのは、日本人宇宙飛行士も乗り組んだクルードラゴンによる地球周回ツアーで、4日間宇宙に滞在。
そして今回ロシアのソユーズ。
先月のロシア人女優に続いて、前澤氏らをステーションへ運び、各国の飛行士と交流しながら12日間滞在する計画で、各社がサービス内容を競い合っている。
今年、宇宙旅行が一気に本格化したのには米露それぞれの事情がある。
まずアメリカは宇宙進出を強める中国へ対抗するため月面探査を目指しており、地球近傍は早くから民間の参入を促し、ベンチャーが開発にしのぎを削ってきた。
一方、去年まで宇宙ステーションへ飛行士を運ぶ唯一の手段だったソユーズを運用するロシアは、アメリカのクルードラゴンの実用化で飛行士を運ぶ運賃収入を失うことになり、新たな客の獲得を迫られていたという事情もあり、今年一気に本格化したわけ。
実はあすも日帰り旅行が予定。
こうした日帰りには日本からも20人が予約済み、民間の宇宙ステーション計画も発表され、今後益々競争は激しくなるとみられる。
ただまだ飛行機のような安全性が保証されているわけではなく、費用も数千万円から数十億円と一般の手に届くものではない。
今後競争によって安全性が高まり値段も下がってより身近なものとなっていくのか注目したい。
(水野 倫之 解説委員)
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