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どうする?タリバンとの関係

出川 展恒  解説委員

イスラム主義勢力「タリバン」が権力を握ったアフガニスタンでは、食料不足など深刻な人道危機が懸念される中、日本を含む各国が、タリバンとの関係をどうするかを模索しています。出川解説委員です。

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Q1:
タリバンの幹部と会談しているのは誰ですか。

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A1:
アフガニスタン駐在の日本の岡田大使です。先月23日、首都カブールで初めて、タリバン暫定政権の副首相代行と会談しました。タリバン側は、各国との関係を強化し、政権承認に結びつけたい考えですが、これまで、タリバンの暫定政権を承認した国は、ひとつもありません。各国とも、タリバンが、今後、人権や国際規範を守れるか、テロ組織との関係を断ち切れるかなど、疑問や不安がぬぐえないからです。

Q2:
日本の大使は、タリバン側に、具体的にどんなメッセージを伝えたのですか。

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A2:
日本がアフガニスタンに対し、国際機関を通じた人道支援を続ける方針を伝えるとともに、▼支援にあたる要員の安全確保、▼女性や少数民族の人権の尊重、▼すべての勢力が参加した政治体制をつくることなどを求めました。そのうえで、「安全が確保され、政治的な条件も整えば」、現在、中東のカタールに退避している大使館を、カブールで再開する方針を伝えました。さらに大使は、「信頼関係を築くのには時間がかかる」と釘を刺したということです。

Q3:
欧米各国はどう対応していますか。

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A3:
今週、カタールで、EU・ヨーロッパ連合の特使とアメリカの特別代表が、相次いで、タリバン暫定政権の幹部と会談しました。タリバン側は、制裁の解除、とくに、海外にある資産の凍結を解除するよう求めましたが、アメリカ側は応じていません。
各国とも、タリバンとの対話を続けつつも、政権承認は、当面視野に入れていません。現地は厳しい冬を迎え、食料や薬が足りず、命を落とす人々も増えています。「人道支援は政治に左右されるべきでない」という指摘もあります。日本を含む各国は、食料などの支援物資がアフガニスタンの一般の人々に届くよう、タリバン側と綿密な協議を行うことが求められます。

(出川 展恒 解説委員)


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