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世界ワクチン格差の解消は?

髙橋 祐介  解説委員

新たな変異ウイルスが確認された問題をきっかけに、先進各国と発展途上国の“ワクチン格差”にあらためて注目が集まっています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、バイデン大統領が甲冑姿で守りを固めている?
A1)
まだ正体がよくわからない変異ウイルス=オミクロン株。バイデン大統領は、医療顧問のファウチ博士らと協議した結果「詳しい分析には数週間かかりそうだ」としながらも、既存のワクチンによって「少なくともある程度の効果があると考えられる」と述べました。
その上で、当面の対応策として▼アフリカ南部8か国を対象に渡航を制限する一方で、▼アメリカ国内で追加のブースター接種を推奨し、▼ワクチン接種率の向上に引き続き取り組む考えを示しました。しかし、ワクチンの供給をめぐっては、先進各国と発展途上国の間に、依然として大きな格差があるのが現状です。

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Q2)
格差はどれぐらい深刻?
A2)
こちらは、イギリス・オックスフォード大学の研究者らが先週末の時点でまとめた世界のワクチン接種状況を地図で色分けしたものです。色が濃いほど接種が進んでいることを示し、アフリカは多くの国々で、接種が遅れていることがわかります。
豊かな先進各国がワクチンを競って確保した結果、貧しい途上国には十分行き渡らず、サハラ以南のアフリカ諸国は、G20=主要20か国との1人あたりの“ワクチン格差”がおよそ15倍に広がっているという民間の分析もあります。WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、「感染拡大とウイルスの変異に歯止めをかけるためには、すべての国々にワクチン普及が必要だ」と述べ、ワクチンの公平な分配をあらためて呼びかけました。

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Q3)
公平な分配に向けた課題は?
A3)
いま焦点になっているのは、ワクチンや治療薬などの知的財産権の扱いです。バイデン大統領は、ワクチンの特許権を一時放棄する意向も表明していますが、大手製薬メーカーや他の先進各国との足並みは揃っていません。
パンデミックの終息をめざす国際社会の結束が試されています。

(髙橋 祐介 解説委員)

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