ロシアがミサイルで人工衛星を破壊する実験を行った。
大量の破片が宇宙ゴミとなって散らばり、その影響が懸念。水野倫之解説委員の解説。
イラストで地球が何かで覆われてしまっているように見えるのは使い終わった人工衛星やロケットの破片などの宇宙のゴミのイメージ。
地上から監視できる10㎝以上のものだけで2万3千個以上、
1ミリ以上は1億個以上と推定され、宇宙にごみがひしめき合う。
ここに今回の破壊で、10㎝以上だけで1500個あまり、6%以上ごみが増えたみられ、
その影響が懸念。
宇宙ごみは浮遊しているわけではなく、時速27000㌔以上の猛スピードで飛び交う。
1㎝のごみでもぶつかれば小型車が時速70㌔で衝突する衝撃があり、
宇宙の活動にとっては脅威。
すでに影響は出ていて、先週、破片が宇宙ステーションに接近、
宇宙飛行士が、一時避難を余儀なくされた。
ロシアは「宇宙ステーションに脅威ではない」と主張したが、
アメリカは「飛行士の危険を高め、すべての国の利益を脅かした」と
ロシアを非難。
すべての国の利益とは各国が運用中の人工衛星のことで、ごみで破壊されるおそれもある。
実際、13基の衛星を運用しているJAXAには、
ごみを監視するアメリカから毎日数百件の接近情報が寄せられ、
年に5回ほど、衝突を避けるため衛星の軌道を変更。
余分な燃料を使い衛星の寿命が短くなるが、致し方ないとJAXAの担当者は言う。
そんな危険あるのに衛星破壊実験やるのは地上の偵察やミサイルの誘導など、今や軍事作戦に衛星は不可欠で、
有事の際に敵の衛星を破壊できるようにする狙いがあるとみられるから。
中国やアメリカ、インドも過去に破壊実験を行っている。
ただ衛星は天気予報やスマホの位置情報など
私たちの暮らしになくてはならないインフラ。宇宙が利用できなくなる前に、国際社会が、
宇宙環境を脅かす行為を防ぐためのルール作りを急がなければ。
(水野 倫之 解説委員)
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