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藤井聡太三冠の挑戦 序列1位なるか

名越 章浩  解説委員

将棋の八大タイトルの最高峰「竜王戦」七番勝負は、第4局が12日から山口県で開かれます。
ここまで3連勝の挑戦者、藤井聡太三冠が豊島将之竜王に勝って、史上最年少での「四冠」を達成するのか、注目の対局となっています。
(名越章浩 解説委員)

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【将棋界の頂点に立つか?】
今の将棋界は、藤井三冠を含む4人が8大タイトルを互いに奪い合っていることから、“四強時代”といわれています。

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19歳の藤井三冠が、今回竜王のタイトルを奪うと、羽生善治九段が持つ最年少四冠記録、22歳9か月を大幅に更新するだけでなく、ついに四強から抜きん出て将棋界の頂点に立つことになるので注目なのです。
将棋界には、およそ170人のプロの棋士がいますが、そこには序列があって、例えば、対局するときの座る位置も、序列が上位の棋士が基本的に上座に座るという文化があります。
勝負の世界だからこそ、年齢に関係なくどっちが上なのかが重んじられているのです。
その序列。現在は、1位が渡辺三冠、2位が豊島竜王、3位が藤井三冠、4位が永瀬王座です。

【序列の決め方は?】
では、序列とはどのように決まっているのでしょうか。
複雑な規定があって分かりにくいのですが、1つはタイトルをいくつ保持しているかがポイントになります。

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最上位の竜王、名人から棋聖まで優勝賞金の大きさなどによって、格付けされたタイトルが8つありますが、藤井さんはこのうちの3つのタイトルを保持していますから、永瀬王座よりも序列は上です。

ただし、竜王と名人だけは別格です。
タイトルをたとえ複数保持していても、竜王、あるいは名人のタイトルを1つでも持っている棋士が他にいれば、その棋士の方が上位になるのです。
今回、藤井さんが最高峰の竜王のタイトルを手に入れれば、同じく最高峰の名人を含む3つのタイトルをもつ渡辺さんを上回る四冠になるので、文句なしに序列1位になるというワケなんです。

まだ10代の若い棋士が四強時代を終わらせ新たな時代を築くのか、対局の行方に注目です。

(名越 章浩 解説委員)


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