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スーダンで何が起きているのか

出川 展恒  解説委員

アフリカのスーダンでは、先月下旬、軍がクーデターによって権力を掌握し、これに抗議する市民に発砲して、大勢の死傷者が出ています。
出川解説委員です。

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Q1:
軍の司令官の後ろで兵士らが市民に発砲していますね。

A1:
はい。クーデター後、軍に抗議する市民によるデモが各地で起きていますが、軍は実弾も使って抑え込もうとしています。これまでに少なくとも14人が犠牲になり、300人以上がけがをしています。

Q2:
今回のクーデターは、なぜ起きたのでしょうか。

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A2:
スーダンでは、おととし4月、30年にわたる独裁体制をしいたバシール元大統領の政権が崩壊しました。市民のデモをきっかけに、政権を支えていた軍がクーデターを起こしたのです。その後、軍と民主化勢力が「共同統治」を行い、民政への移管、つまり、民主化を目指すことで合意していました。
ところが、先月25日、軍のトップのブルハン司令官が、国連出身で経済学者のハムドク首相をはじめ閣僚らを拘束。共同統治の暫定政府を解体し、権力を握りました。
背景には、軍と民主化勢力の権力争いに加え、人々の暮らしが悪化したこともあります。バシール元大統領とつながりのある兵士らによる政変の企ても起きていました。
スーダンの民主化が、軍による新たなクーデターで潰されようとしていることを世界が憂慮しています。

Q3:
事態の収拾は可能でしょうか。

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A3:
軍は、クーデターを正当化しており、これまでにハムドク首相と4人の閣僚を解放したものの、自宅に軟禁しています。これに対し、民主化勢力は、「民政移管」を強く求めて、軍への抵抗を続ける構えで、さらなる流血が懸念されます。
カギを握るのは国際社会の対応です。国連のグテーレス事務総長は、軍のブルハン司令官と電話会談し、民政移管に立ち返るよう、直接要求しました。アメリカが、7億ドルの経済支援を凍結したほか、ヨーロッパ諸国も、これに同調する姿勢です。AU・アフリカ連合は、スーダンの参加資格を停止しました。
国際社会が、スーダンの軍に対する説得と圧力により、民主化への道に引き戻すことができるかどうかが注目されます。

(出川 展恒 解説委員)


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