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中国『歴史決議』で誰に並ぶ?

石井 一利  解説委員

中国の「6中全会」について、石井解説委員に聞きます。

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Q:中国では冬の北京オリンピックが近づいてきましたが、スキーのジャンプ台にいるのは、習近平国家主席ですか?

A: 中国の習近平国家主席は、今回、「歴史決議」という権威あるトーチを持ち、どこまで飛べるか、挑戦しようとしています。
今回の会議は、習主席が、長期政権を目指すうえで、極めて重要です。

Q:その「歴史決議」というのは、どのような意味があるのですか?

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A:「歴史決議」は、過去を総括することで、自らの進めたい方向性を権威付けするものだといえ、中国共産党では大きな意味を持ちます。
これまで2回採択され、最初は、毛沢東が主導し、1945年に行いました。
1921年に創立した共産党の24年間を総括し、党内の路線対立を否定し権力基盤を固めました。
2回目は、鄧小平が主導し、1981年に行いました。
社会が大混乱した文化大革命を否定して、権力基盤を強化し、その後の経済発展への道筋をつけました。
習主席は、毛沢東に並び、いずれ超えるようになりたいという思いがあるとも言われています。
今回、3回目となる「歴史決議」の権威を持ち、習主席が、どこまで飛ぶのか、関心が集まっています。

Q:今回の「歴史決議」は、どのような内容になりそうですか?

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A:今回は、これまでの2回と違い、過去の否定ではなく、肯定するような内容になりそうです。
過去の指導者たちの功績もたたえて肯定し、党100年の歴史を総括すると予想されます。
さらに、それを受け継ぐ習主席の正統性も強調することで、自らの権威を高め権力強化につなげる思惑もありそうです。
ただ、中国は、アメリカとの対立や、経済格差の拡大など、国内外で課題が山積しています。
今回、習主席が、目標とするところまで飛び、権威を示したとしても、今後、国民が納得する実績を示し、支持を集め続けることができるのか、注目されます。

(石井 一利 解説委員)


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