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バイデン大統領『待ち人来たらず』?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのバイデン大統領は、G20サミットやCOP26の首脳会合に出席するため、就任以来2度目となる外遊に向けて、首都ワシントンを出発しました。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、かぼちゃの馬車ですか?

A1)
もうすぐハロウィンですから、こんな絵をご用意しました。カトリック信者のバイデン大統領は、バチカンでかねてから懇意にしているフランシスコ教皇との面会に続き、今週末ローマで開かれるG20サミットに参加。その上で、週明けにイギリスのグラスゴーで開かれる国連の気候変動対策の会議=COP26の首脳会合に出席します。ところが、そこで会いたい相手が待っても来ないようなので、肩透かしにあいそうな格好です。

Q2)
誰を待っていた?

A2)
世界最大の温室効果ガスの排出国=中国の習近平国家主席です。COP26には、日本の岸田総理大臣も含めてG7は全員、インドやオーストラリアも首脳が出席を予定しています。ただ、世界有数の産油国=ロシアのプーチン大統領も、コロナ感染の拡大を理由にリモート参加にとどまる見通しです。中ロの首脳が対面での出席を見送ることで、主要な排出国による削減の取り組み強化は、ますます難しくなるかも知れません。しかも、バイデン大統領自身、COPに履いていくはずだった、いわば“ガラスの靴”が一部の与党議員らの反対で、まだ届いていないのです。

Q3)
おとぎ話のようですが、“ガラスの靴”って何を表している?

A3)
再生可能エネルギーの導入促進に向けて、日本円でおよそ60兆円規模を投じることを盛り込んだ財政支出計画です。民主党の議会指導部は、大統領の外遊出発までに、この歳出法案の可決を目指しましたが、今なお与党内で調整が続いています。「気候変動対策は言葉よりも行動を」そうバイデン大統領は呼びかけて、就任早々パリ協定に復帰し、排出量の削減目標も大幅に引き上げましたが、このまま裸足で会合に乗り込めば、そうした目標を達成できるかどうかを疑われかねません。

アメリカは各国の取り組みをどこまでリードできるのか?今回のCOPは、議論の紛糾が避けられないとの観測も出始めています。

(髙橋 祐介 解説委員)

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