タリバンがアフガニスタンのほぼ全土を制圧してから2か月たちました。国外へ退避する人々の安全の確保と各国の受け入れはどうなっているのでしょうか。
Q.長い列ができていますね。
外国人だけでなくアフガニスタンの人たち10数万人がタリバンの支配から逃れようと出国し、14日には女性を含むサッカー選手とその家族およそ100人が祖国を離れました。これまでにアメリカには6万人以上が到着しています。また、カナダ政府は自国と関係がなくても迫害を受けるおそれのある人権活動家なども含めて4万人を受け入れる方針を表明しています。一方、日本は大使館やJICA・国際協力機構で働いていた現地職員と家族500人余りを支援対象としており、すでに周辺の国々に逃れた300人あまりのうち173人が先週までに来日しました。ただ、国外への退避を希望しながら今もアフガニスタンに残っている人たちの出国の目途はたっていません。
Q.なぜ出国できないのですか?
旅券がないか出国の手段が見つからないためです。タリバンは国民に国にとどまるよう求めており、出国への協力をとりつけるのは容易ではありません。一方、NGOは民間の組織で働いていた人たちの出国の支援も求めています。さらに、支援は出国だけでなく日本に来たあとも欠かせません。
Q.日本に来た人たちにはどんな支援が必要なのでしょうか?
日本では3か月以内の短期滞在、あるいは6か月以上の滞在が認められる特定活動の在留資格が得られますが、あくまでも一時的な措置です。長期化した場合いつまで滞在が認められるのか、住まいや子どもの教育はどうするのかなど問題は少なくありません。また、政権崩壊前に日本に来ていた人たちの支援も必要です。
先月アフガニスタンに帰国予定だった留学生15人は2か月の滞在延長が認められましたが、その先は未定だということです。アフガニスタンで日本に貢献してくれた人たちや日本の社会でともに暮らしてきた人たちが、祖国に帰ることができるようになるまで時間がかかるだけに受け入れ態勢を早急に整える必要があると思います。
(二村 伸 解説委員)
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