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「バイデン大統領に"試練の秋"?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのバイデン大統領は、政権の優先課題を盛り込んだ重要法案が議会を通過せず、対応に苦慮しているようです。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、バイデン大統領がボウリング?
A1)
“スポーツの秋”を迎えましたが、いまバイデン大統領が直面するのは、さながら“試練の秋”。ストライクをねらいにいったコロナ対策は、ワクチン接種率の頭打ちで、いまひとつスコアが伸びません。アメリカ軍のアフガニスタン撤退に伴う混乱で、まさかの“ガター”も出してしまいました。そ
の結果、バイデン大統領の平均支持率は、就任以来最も低い40%台半ばで低迷しています。それを見て、隣のレーンで、ほくそ笑む人もいるようです。大統領は、次の一投に期待をかけますが、今度は議会がレーンをふさいでいるのです。

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Q2)
どうして議会がレーンをふさいでいる?
A2)
バイデン大統領が手にしたボール=総額1兆ドル規模のインフラ投資法案は、すでに超党派の合意により上院で可決していますので、この穴を楽に通過できるはずでした。ところが、下院の民主党左派のグループは、幼児教育の一部無償化や高齢者の公的医療保険など“福祉の拡充”を求めて、総額3兆5,000億ドル規模の歳出法案も同時に可決するべきだと主張。いわばこのボールが大きすぎて穴を通過できないのです。

Q3)
それならボールを小さくするか、穴を大きくすれば良いのではないですか?
A3)
それはその通りなのですが、予算規模の圧縮には民主党左派が納得せず、逆に規模の拡大には共和党だけではなく、財政規律を重んじる民主党内の中道派も難色を示しています。このままでは、支持率挽回は覚束ないばかりか、バイデン政権が最重要課題と位置づける気候変動対策にも影響が出かねません。

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Q4)
どうして気候変動対策にも影響する?
A4)
このふたつの重要法案には、脱炭素社会をめざす野心的な計画も盛り込まれているからです。バイデン大統領は、今月末からイギリスで始まる国際会議COP26に、具体的な対策計画を携えて出席し、ほかの各国に率先して温室効果ガスの削減努力を呼びかけたいとしています。それまでにこの法案通過に漕ぎつけることは出来るのか?バイデン大統領の調整手腕が試されています。

(髙橋 祐介 解説委員)

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