北朝鮮が初めての核実験を行ってからあす(9日)で15年になります。北朝鮮の核開発と国際社会の取り組みについて出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、きょうのイラストはカレンダーですか?
A1、北朝鮮が初めての核実験を行ったのが2006年の10月9日。それから15年という長い年月が流れてしまいました。この間、北朝鮮は合わせて6回の核実験を行っています。核弾頭を載せるミサイルの発射も繰り返し、その技術を向上させています。15年間も北朝鮮の核・ミサイル開発を許してしまった国際社会の責任は大きいと言わざるを得ません。
Q2、なぜ核開発を止めることができなかったのでしょうか?
A2、もちろん、国際社会もただ手をこまねいていたわけではありません。
▽北朝鮮も加わった6か国協議、▽国連安保理での度重なる制裁決議、▽トランプ政権時代には米朝の首脳会談も行われました。
▽しかし6か国協議では、日本、アメリカ、韓国が核の放棄を強く迫ったのに対し、中国、ロシアが北朝鮮を擁護するという展開が続き、参加国の足並みを揃えることができませんでした。
▽厳しい制裁決議も、船から船へ積荷を積み替える“瀬取り”と呼ばれる制裁破りが後を絶たず決定打にはなりませんでした。
▽米朝協議もハノイでの首脳会談が物別れに終わって以降、進展がみられません。
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は「北朝鮮の核開発は全速力で進んでいる」と強い懸念を示しています。
Q3、全速力ですか! なんとか歯止めをかけることはできないのでしょうか?
A3、国際社会の危機感の欠如が一番の問題だと思います。バイデン政権は対話による解決を目指していますが、北朝鮮からの返事待ちの状態です。
今週、韓国と北朝鮮を結ぶホットラインが再開しましたが、これも北朝鮮が融和に転じたというよりは、人道支援などを引き出すための揺さぶりと見るべきでしょう。
北朝鮮の核・ミサイル開発は日本、そして世界の平和を脅かす深刻な問題です。アメリカや韓国との協調も大事ですが、まずは日本が声をあげて危機感を高め、国際社会をひっぱっていく努力が求められると思います。
(出石 直 解説委員)
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