岸田新内閣が4日夜、発足した。記者会見で岸田総理大臣は、臨時国会の会期末の10月14日に衆議院を解散し、19日公示、31日投開票の日程で選挙を行うと表明した。
Q.新政権発足早々、衆議院選挙の日程も示された。どう見るか。
A.岸田総理大臣は日程を決めるにあたり10月21日の衆議院議員の任期満了を超えることによる空白をできるだけ短くすること、また新型コロナの感染が一時期より比較的落ち着いていることを考慮したと説明した。ただ政権の「新味」が失せないうちに選挙に臨んだ方が得策だという判断もあっただろう。
Q.そうした中で政権の顔触れの特徴は何か。
A.目の前の衆院選、来年の参院選を強く意識し、安定感と独自色のバランスをいかに保ちながら、かじ取りしていくかに腐心したことがうかがえる。今回麻生派幹部の甘利幹事長、安倍元総理大臣に近い萩生田経済産業大臣などを起用したのも、安倍・麻生両氏を後ろ盾としながら、安定した態勢を整えたい意向と受け取れる。
Q.一方で独自色とは。
A.一番は若手を大胆に抜擢した点だ。初入閣は20人中13人、中でも衆院当選3回ながら4人を閣僚や党四役に起用したのが目を引く。このうち小林鷹之議員が就いた経済安全保障担当大臣は中国を念頭に、技術の流出防止などに取り組む政権肝いりの新設ポストだ。また福田達夫議員の党総務会長は政策などを最終決定する場を取り仕切る役職で、政治手腕にたけた重鎮やベテランがつくことがこれまで多くあった。さらに今回、コロナ対策に直接関わる大臣も全て入れ替えていて、刷新感をアピールする狙いを感じる。
Q.順調な船出となりそうか。
A.過去には有力者や派閥の意向を尊重しすぎるがあまり、政権発足早々に世論の反発や離反を招いた歴史もあるほか、若手の抜擢も顔触れが示されただけで、その手腕は未知数と言っていい。
それだけに国民が岸田総理の示す政治の方向性と、その説明ぶりをどう評価するか。さらには新しい閣僚の考えを国会で明らかにする実質的機会もなく選挙に向かうことを国民がどう判断するかが、今後のカギとなるだろう。
(曽我 英弘 解説委員)
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