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次期駐日アメリカ大使"かくも長き不在"?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカの駐日大使は、前任のハガティ氏が離任して以来、不在の状態が2年2か月以上も続き、戦後最長を更新しています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラスト、バイデン大統領が背中を押している人物は誰ですか?
A1)
次の駐日大使に指名されたラーム・エマニュエル氏(61)です。ユダヤ系で前のシカゴ市長、オバマ政権では首席補佐官を務め、闘魂あふれる剛腕ぶりからファーストネームをもじって、あのアクション映画の主人公「ランボー」の異名をとりました。若いころ、意見が衝突した同僚にマフィア映画さながら“死んだ魚”を送りつけたという逸話でも知られています。そんな強烈な個性の持ち主ですが、着任までには、まだしばらく時間がかかるかも知れません。

Q2)
どうして?
A2)
大使人事は、民主・共和両党の議席が伯仲する議会上院で、過半数の承認が必要だからです。エマニュエル氏は、市長時代の人種問題への対応を民主党左派から批判されています。ただ、民主党の重鎮や共和党の一部議員らは、すでに支持を表明していますので、仮に審議が難航しても、最終的に承認されない可能性は今のところ低そうです。

Q3)
では、議会で承認されたら、どんな駐日大使になりそう?
A3)
こちらは過去7人の駐日アメリカ大使の顔ぶれです。かつて副大統領や下院議長の経験者ら“大物”が続いた時代から、近年は選挙の功労者など、“大統領と距離が近い”人物が選ばれる傾向がうかがえます。その点で、エマニュエル氏は、バイデン氏とは30年来ともに民主党中枢にいるインサイダー。“大物”で“大統領とも近い”ユニークな大使になるかも知れません。
これまで日本とのかかわりは薄く、外交経験もほぼ皆無ですが、「日米同盟は自由で開かれたインド太平洋の繁栄と平和の礎石=コーナーストーンだ」と意欲を語ります。
長らく不在の次期駐日大使は、日本の新しい内閣とともに、この地域にどんな将来像を描くのか?当面は、議会公聴会がいつ開かれ、エマニュエル氏がどんな発言をするかに注目が集まります。

(髙橋祐介 解説委員)

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