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"月で食料生産"公募します!

土屋 敏之  解説委員

◆きょう9月21日は今年の「中秋の名月」・・・ウサギと宇宙飛行士が餅つき?

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こちらはおとぎ話のような絵ですが、本当に月でお餅を作る日も来るかもしれません。
今月、国が「月面などでの長期滞在を支える食料供給システムの開発」というのを公募しています。具体的には、月面基地で4人の人間が健康に暮らせる栄養素のほぼ全てをまかなえる食料生産と、あわせて排せつ物などから水や資源を循環・再生するシステムを今後5年で開発することを目指しています。
10日に開かれたオンライン説明会には、企業や大学の研究者などおよそ100人が参加しました。

◆なぜ今月で食料を生産しようとしている?

 背景には、アメリカが提案し日本も参加する「アルテミス計画」で、2020年代後半にも月面基地建設が計画されていることがあります。
現在の宇宙ステーションでは、食料は地球から輸送していますが、月やさらに遠い火星に長期滞在しようとすると、全ての物資を運ぶのは困難とも考えられます。
そこで期待されるのが、人工的な環境で野菜に照明を当てるなどして育てる「野菜工場」 や、こちらはまだ開発段階ですが、家畜の細胞を培養して作る、つまり家畜を飼育せず肉だけ作る「培養肉」と呼ばれる技術などです。

◆月で食料を自給するのは可能?

必要な食料全てを生産するというのは、なかなか容易ではありません。
ただ、こうした技術が今後の宇宙開発で重要になるのは確かですし、また国はこれを地上でのビジネス創出にもつなげる狙いです。
こうした閉鎖環境で限られた水や資源を循環させて食料を作る技術は、砂漠化した土地などでも天候に左右されない効率的な食料生産を可能にすると考えられます。今後、地球温暖化などで世界の食料事情の悪化が予想される中、これを「絵に描いた餅」に終わらせることなく、持続可能な食品産業にもつなげられるか注目されます。

(土屋 敏之 解説委員)


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土屋 敏之  解説委員

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