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理解は進むか?原発処理水対策

水野 倫之  解説委員

福島第一原発にたまるトリチウムを含む処理水を海へ放出する方針を巡り、政府・東京電力は基金をあらたに設けるなど、当面の風評被害対策を示した。
これで理解は進むのか、水野倫之解説委員の解説。

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処理水問題、依然として地元関係者の反発根強く、今も特に漁業者からは「放出に断固反対であることにかわりはない」との声が。

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タンクにたまる処理水について東電は、海水で薄めて放出する前に一旦ためて、濃度が基準以下であることを確認してから放出すること、また拡散しやすいよう海底にトンネルを掘って原発から1キロ沖合に放出するなどより安全な放出方法を検討していると説明。
それでも地元は風評被害が心配。そこで政府は基金をつくって、販売が減少したり価格が下がった魚を国費で買い取り、冷凍保管後に国が販売することや、東電も、業種や地域を限定せず、統計データをもとに販売量が減れば風評被害として適切に賠償する方針を示した。

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これに対し地元はまず基金については規模がどれくらいで、国といってもどんな組織が買い取りを行うのかなど具体的でなく、うまくいくのか疑問の声。
また適切に賠償するという東電に対しても、これまでも賠償を拒んで裁判になるケースもあって根強い不信感があり、これですぐに理解が進むことにはならないと思う。
漁業者ら地元が望んでいるのは、自立して操業していくことで、風評を起こさない対策にもっと力を入れる必要。
政府は自治体や関係団体からは意見をきいているが、依然として一般消費者の処理水への関心は低いままで、このまま放出となれば風評被害は避けられないと思う。
放出しかないというのであれば、大消費地で公聴会などを開いて消費者と直接対話し、疑問に答えていくような積極的な取り組みが必要。

(水野 倫之 解説委員)


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