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カンヌ映画祭 偉業達成なるか

名越 章浩  解説委員

世界3大映画祭のひとつ、フランスのカンヌ映画祭は、日本時間の18日早朝、最優秀賞の「パルムドール」などが発表されます。
日本の作品の注目点などを名越章浩解説委員が解説します。

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Q、日本はどんな作品がノミネート?
A、最優秀賞のパルムドールを競う部門に、濱口竜介監督の新作「ドライブ・マイ・カー」がノミネートされています。原作は村上春樹さんの小説です。主人公は妻を亡くした舞台俳優で演出家の男性。ドライバーの女性との交流を通して、目を背けていた妻の秘密と向き合っていく物語です。
受賞の期待が高まっているのですが、私は2つの点で注目しています。

Q、注目点の1つ目は?

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A、濱口監督自身の偉業達成です。
濱口監督は、現在42歳で、日本映画の次代を担う才能として注目されてきた1人です。
その濱口監督はこの1年特に活躍が目覚ましく、世界3大映画祭を席巻しています。
まず、去年、ベネチア映画祭。銀獅子賞を受賞した黒沢清監督の映画「スパイの妻」で、実は企画と脚本を共同で担当したのが濱口さんでした。
そして、今年2月、ベルリン映画祭では、監督として出品した「偶然と想像」が銀熊賞を受賞。
さらに今回カンヌにも挑戦ということで、わずか1年のうちに3大映画祭すべてで受賞するかもしれないという偉業を成し遂げる可能性があるのです。

Q、もう1つの注目点は?

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A、アジア映画の3連覇です。
パルムドールは、前回の受賞作が韓国のポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」で、前々回の受賞が、日本の是枝裕和監督の「万引き家族」でした。つまり、欧米の作品が多く出品される映画祭にも関わらず、今回もパルムドールを受賞すれば、アジア映画が初めて3回連続で頂点に立つ快挙となるのです。

カンヌ映画祭は、去年は新型コロナの感染拡大で現地での開催ができなかった経緯があります。
2年ぶりに対面での開催となり、その最初のパルムドールに日本の映画が選ばれ、新たな歴史に名を残すことを期待したいと思います。
受賞作品は、日本時間の18日、日曜日の早朝に発表される予定です。

(名越 章浩 解説委員)


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