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東京五輪・パラ ドーピング処分のロシアは

安間 英夫  解説委員

来週開幕する東京オリンピック、その後のパラリンピックで、ロシアの選手は、過去の組織的なドーピングをめぐって国の代表としての出場は認められず、国旗や国歌の使用も禁止されます。

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Q)ロシアの選手は3年前、冬のピョンチャン大会でも個人資格での参加でしたね。
A)
はい。厳しい措置がとられました。
ただ今回はその措置がやや緩和され、ROC=ロシアオリンピック委員会、RPC=ロシアパラリンピック委員会の選手としての出場となります。
前回ユニフォームは国旗を連想させる配色が認められませんでしたが、今回は、ひきつづき国名や国旗を入れることはできないものの、ロシア国旗と同様の配色が認められました。

Q)金メダルをとった場合、表彰式で国歌の代わりに流される曲はどうなりますか。

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A)
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番です。

当初はロシア民謡として知られるカチューシャを申請しましたが、ロシアを連想しやすいとして認められませんでした。
チャイコフスキーもロシアの作曲家ですが、世界で親しまれている名曲として認められたと言います。

さらにこの曲をとりわけ気に入っているのは、プーチン大統領なんです。

Q)そうなんですか。

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A)
曲が決まったのは4月でしたが、先月末、もっとも感銘し影響を受けた芸術作品として、トルストイの小説「戦争と平和」などとともにこの曲の名前をあげました。

プーチン大統領は選手たちを激励して送り出しましたが、今回の東京大会を含めて、ロシアのスポーツ界が何より取り組まなければならないのは、組織的なドーピングの汚名を返上することだと思います。
依然、組織として厳しい目が向けられていますので、ドーピングのないクリーンな競技、そのうえで選手たちの活躍ぶりを見せてほしいと思います。

(安間 英夫 解説委員)


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