NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「三菱電機 検査不正はなぜ起きた」(ここに注目!)

関口 博之  解説委員

三菱電機で明らかになった空調装置などの検査の不正、杉山武史社長が引責辞任を表明する事態になりました。
関口解説委員です。
「不正のトライアングル」とありますが、これは何ですか?

C210706_0.jpg

企業が起こす不正には3つの要素があるといわれます。それを表しました。
まず一つ目は「動機」です。

C210706_2.jpg

今回の不正は空調装置と、ブレーキやドア用に使われる空気圧縮機について鉄道会社との契約とは違った方法で検査したり、検査を省いたりしていたというものです。
会見で杉山社長は「業務の負荷を効率化しようとしたのでは」と推測していましたが、何らかの動機があったはずです。
仕事量に比べ人手が足りず、手を抜こうとしたのか、まずこの解明が要ります。

2つ目が「機会」ですか?

C210706_4.jpg

不正が可能な状況、つまり機会があるということです。
品質検査の現場は顧客からは見えません。だからこそ信頼が大事なのですが、逆にそれを悪用していました。
また総合電機メーカーの三菱電機の場合、各事業部門の独立性が強いともいいます。「縦割り」の弊害で他の部門は関心すら持ちません。
本社など社内の目も届きません。これも問題です。

3つ目の「正当化」とはどういう意味ですか?

C210706_6.jpg

不正の言い訳がたつということです。
例えば「検査を省いても技術自体は優秀だから安全性や性能に問題はない」。
今回の例にも、そういう「おごり」が垣間見えます。
また、この不正は1985年ごろから続いてきたとされます。
「代々やってきたことで自分たちが始めたわけじゃない」という言い訳もあったかもしれません。
三菱電機では2018年以降、次々に異なる部門や子会社で品質問題が起き、そのたびに再発防止を誓ってきましたが、それでも見過ごされ、身内の論理だけで続けられてきた問題があったことになります。
「不正のトライアングル」の根っこを絶つ、これが次の社長の最大の責務です。

(関口 博之 解説委員)

キーワード

関連記事