2年前、民間として初めて宇宙到達に成功した北海道のベンチャー企業の
ロケットが、復活を期して、この夏2回の打ち上げに挑戦します。
水野倫之解説委員の解説。
民間ロケット、これまで5回打ち上げられているが、今回は1年かけて機体を刷新。
古い殻を脱ぎ棄てての打ち上げとなる。
全長は10mという点は変わりませんが、全面的に改良されたのが心臓部のエンジン。
噴きだし口の耐熱性を強化し、着火装置も改良して信頼性を向上させ、
あす1回目の打ち上げに挑む。
今回ここまで機体を刷新したのは宇宙到達成功後、トラブル続きだから。
民間ロケットは投資家の堀江貴文さんの出資を受けて社員20人で開発。
2年前3回目の打ち上げで、国内の民間として初めて宇宙到達に成功。
彼らの目標は超小型衛星の打ち上げビジネスへの参入で、
実績を積もうと4回目5回目と打ち上げたが、エンジントラブルなどでいずれも失敗。
ライバルとの競争も激しくなっており、
状況打開には小手先の手直しではなく、全面的な刷新が不可欠と判断。
超小型衛星の需要は年々高まっていて、
民間の小型ロケット開発は世界中で行われるようになり、
アメリカではすでに定期的な打ち上げに成功しているベンチャーも。
さらに国内でも大手精密機器メーカーなどが開発中の小型ロケットが
今年度中の打ち上げを目指すなどますます競争は激しくなりそう。
そして今回刷新したのは機体だけではない。
組み立て工場も新設したほか、社員も3倍の60人に増やし、
会社では「人事は尽くした、この夏にかける」と話す。
ロケットビジネスを成功させる上で最も重要なのが信頼性。
それを証明できるのか、まずはあす午前11時の1回目の打ち上げに注目。
(水野 倫之 解説委員)
●取材後記
私はこの民間ロケットを1回目の打ち上げの頃から取材していますが、
当時は十勝の農協の販売所だったところに20人ほどの若者が集まり、
日夜議論しながら油にまみれてロケットを組み立てていたのが印象的でした。
それがいまや社員は3倍に、新設の工場もロケットを複数機同時に組み立て
できるそうです。それだけ投資もしたわけで、この夏の2回の打ち上げで
顧客をつかむことができるのか、引き続き見ていきたいと思います。
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