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NY市長選"新投票方法の予備選"は?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ最大の都市ニューヨークで、11月の市長選挙に向けて、22日、民主・共和両党の候補者を選ぶ予備選挙が行われ、新たに導入された投票方法が注目されています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは随分沢山のランナーが競っていますね?
A1)
いまニューヨーク市は民主党が圧倒的に強いので、今回の民主党の予備選挙を制した人物が“次の市長”になる公算が大きいとみられています。しかし、主な候補だけで8人がひしめいて、支持率でトップと後続の差は僅かです。しかも、今回から「優先順位付き投票」という方法が初めて導入されたため、誰が混戦を抜け出すか判りません。

Q2)
「優先順位付き投票」って、どういうもの?
A2)
簡単に言うと、有権者は1人の候補ではなく、当選させたい順に今回は最大で5人まで選べます。たとえば架空ですが、こんな投票が可能です。
最初の開票集計で、第1希望の“こぶた”が過半数を獲得したら、“こぶた”当選です。ここまでは従来どおり。誰も過半数に達しなければ、得票が最も少ない候補が脱落し、その票は第2希望の候補に配分されて、再び集計が行われるのです。もし“こぶた”が脱落したら、この票は次の“たぬき”、“たぬき”も脱落したら次の“きつね”に割り振られ、以降は集計と配分をくり返し、最後に残った2人のうち得票数の多い方が勝つ仕組みです。

Q3)
とても複雑ですが、どうしてこの仕組みを導入した?
A3)
有権者の選択肢が増えることで、より多くの民意を反映しやすいと考えられたからです。決選投票が必要ないので、選挙費用も節約できます。この方法をすでに導入した都市が、他にもありますが、ニューヨーク市は有権者が格段に多いため、投開票に混乱や遅れを懸念する見方もあります。
これまで予備選挙は、投票率が低く、特定の政治グループや人種、宗教など、少数でも固い支持基盤を持つ候補が有利になる傾向がありました。この方法なら、偏りなく幅広い支持を集めた候補が選ばれる可能性が高いと考えられているのです。果たして、ねらい通りの結果を得られるか?ニューヨーカーの選択に全米が注目しています。

(髙橋 祐介 解説委員)

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