NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

コロナ禍の最低賃金 議論スタート

竹田 忠  解説委員

焦点となっている最低賃金の引き上げをめぐる議論がきょうから始まります。
竹田解説委員です。

C210622_1.jpg

Q①最低賃金というのは、この絵にあるように、
  地域によって違いがあるんですよね?


そうなんです。都道府県ごとに時給で決められてます。
最も高いのは東京の1013円。
最も低いのは、この7つの県の792円。
時給で221円の開きがあるんです。
全体の平均としては902円で、
この最低賃金を、各都道府県がどれだけ上げるのか
その目安となる額を、毎年国が決めることになっていて、
その議論がきょうから政府の審議会で始まるわけです。

Q②でも、このコロナの雲が気になりますね。


そうなんです。これが大きな問題なんです。
というのも、最低賃金は、つい最近まで、
4年連続で毎年20円以上の高い伸びが続いていた。
それが去年は、コロナによる経済の落ち込みで
引き上げ額は、ドンと下がって、平均でわずか1円の上昇にとどまった。
なので、今年は、政府が骨太の方針で、
「格差是正には、最低賃金の引き上げが不可欠」
「より早期に、平均1000円を目指す」と明記して
引き上げに強い意欲を示しているんです。

C210622_4.jpg

Q③でも、コロナの影響は今も続いてますよね?


そうなんです。
なので、労働側は、「収入が激減して生活は厳しい」として、
引き上げを強く求めていますし、
逆に経営側は
「多くの中小企業が経営の危機に直面している」として
現状維持を求めているわけです。

ただ、コロナの影響は、飲食や宿泊など特定の業界で強く出ていますので、
そういう所でも最低賃金をあげやすくなるよう
政府としてコロナの総合的な経済対策の中で
助成金などでしっかりと支援をする、
それが、最低賃金引き上げにもつながる、
という関係ではないかと思います。

C210622_7.jpg

最後に重要なことは
日本の最低賃金はまだまだ低いということです。
フルタイムで働いても年収が200万円にとどきません。
イギリス、ドイツ、フランスでは
最低賃金は1200円から1300円程度で、日本は大きく見劣りします。
チャンと働けば、チャンと生活できる最低賃金を
日本でもはやく実現してほしいと思います。

(竹田 忠 解説委員)

関連記事