最終盤の国会ついて、伊藤解説委員に聞きます。
Q)あさって16日に国会の幕を閉じるかどうかで与野党が対立しているのですね?
A)政府と自民・公明両党は、国会を閉じて、舞台を変えたいのだと思います。与党側は、この国会で、重要法案は、順調に成立していると見ていますので、ここは、国会に縛られず、ワクチン接種の加速をはじめ新型コロナ対策に全力を集中して成果をあげたいところです。
Q)一方、野党側は、3か月の会期の大幅な延長を求めていますね?
A)野党にとって、国会は、政府・与党の姿勢を追及し、自らの主張を訴える重要な舞台ですから、大幅に延長したい。緊急事態宣言が出されている中で、国会を閉じていいのか。補正予算案や東京オリンピック・パラリンピックへの対応など、議論すべきことはたくさんあると主張しています。
Q)与党側が大幅な延長に応じなければ、野党側は内閣不信任決議案を出すのでしょうか?
A)その流れが強くなっているようですが、立憲民主党、共産党、国民民主党などには悩ましさもあります。
不信任案は、政権の交代を求めるものです。コロナ対策が待ったなしの状況で、衆議院の解散・総選挙を求める形になっていいのかということです。野党のうち、日本維新の会は、解散を求める不信任案の提出には否定的で、立場の違いがあります。
一方、与党側は、不信任案には理由はなく、提出されれば粛々と否決すべきだという意見と、一部に、直ちに衆議院の解散に踏み切るべきだという声もあります。
Q)どうみればいいのでしょう?
A)菅総理大臣は、不信任案が出された時点で考えたいとしています。ただ、政権として、コロナ対策が最優先ですから、直ちに解散というのが、果たして現実的かどうか。与党側が、解散を明確に否定しないことで、「本気で解散を求めるのか」と野党側をけん制し、その迫力をそぎたいという狙いもあると見ていいと思います。
年内に衆議院選挙が行われる選挙の年の通常国会最終盤。国会の閉じ方をめぐり、与野党の攻防が激しくなるなかで、政治は役割を果たしているのかという問いかけに、しっかりと答えるのかにも注目したいと思います。
(伊藤 雅之 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら