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UFOは実在する?米報告書を提出へ

髙橋 祐介  解説委員

UFO=未確認飛行物体の正体は明らかになるでしょうか?アメリカ政府が近く議会に提出する報告書に注目が集まっています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
このイラストはどこですか?
A1)
映画「未知との遭遇」のロケ地になった西部ワイオミング州にある国定公園デビルスタワーです。アメリカ国防総省は、そうしたフィクションではなく、実際に特別チームを立ち上げて、UFOは「安全保障上の脅威になり得る」として、本格的な調査を進めているのです。

Q2)
なぜ今そうした調査が必要なのでしょうか?
A2)
国防長官と国家情報長官に対し、「未確認航空現象」と呼ばれる調査に関する報告書を議会に提出するよう求める規定が、去年暮れに成立した歳出法に盛り込まれたからです。提出期限は今月25日に迫っています。
この報告書について、有力紙ニューヨーク・タイムズは、政府関係者の話として、宇宙人の存在を示す“証拠は見つかっていない”ものの、物体の急加速など異常な動きは、完全には“解明できない”という内容になるとの見方を報じています。

Q3)
ということは、つまり?
A3)
“未確認の飛行物体”は実在することになります。ただ、ギャラップ社がおととし行った世論調査では、アメリカ国民のおよそ3分の1が、“UFOは宇宙人の乗り物”という説を信じている一方で、60%は“人為的なものか自然現象で科学的に説明できるはず”と考えています。また同じ世論調査で、国民の7割近くは、UFOに関してアメリカ政府は、これまで公表した事実以外に、もっと何かを知っているのではないかと疑っているのです。

Q4)
では、今回の報告書はすべての事実を明らかにする?
A4)
軍事機密は公表されない見通しです。現に、長年にわたりUFOとの関係が憶測される「エリア51」と呼ばれる西部ネバダ州の立ち入り禁止区域は、東西冷戦の時代はU2偵察機の試験場だった可能性が、機密指定の解除を受けた関係者の証言によって現在は指摘されています。今回のUFO調査も、アメリカが他国に対抗するため“宇宙軍”を創設し、当局が予算獲得に乗り出すタイミングに重なったことも、単なる偶然ではないかも知れません。UFOの謎は、今後も新たな謎を呼び続ける可能性が高そうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

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