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二刀流大谷が絶好調 "バッター不利"の中で

小澤 正修  解説委員

エンジェルスの大谷翔平選手、今シーズン、大リーグでバッターに不利な措置がとられながらも、好調を維持しています。小澤正修解説委員です。

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Q1
ことしはバッターとして活躍が目立つ。
A1
これまでも我々を驚かせてきた二刀流の大谷選手、今シーズンは先発投手陣の一角を担いながら、リーグトップを争う15本のホームラン。ちょっと気は早いのですが、日本選手初のホームラン王を期待する声も出ています。実はそのすごさを、さらに際立たせている背景があるのです。

Q2
というと?

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A2
大リーグでは今シーズン、反発を抑えた、いわゆる「飛ばないボール」が導入されました。というのも、新型コロナの影響を受ける前のおととし、大リーグ全体では前の年よりおよそ1200本も多い、史上最多の6776本のホームランが飛び出していたのです。

Q3
そこで「飛ばないボール」を導入するバッター不利な措置がとられた。

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A3
その結果、リーグ全体でホームランは1試合平均で0.2本以上減り、平均打率も過去最低レベルの2割3分程度にまで落ち込んでいます。それを裏付けるように、おととしは年間で4回だったノーヒットノーランが、ことしは開幕わずか2か月で6回も達成されました。

Q4
大谷選手はなぜ打てる?

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A4
飛ばないボールの影響は30センチから60センチ程度と言われています。これでも全体では数が減っているのですが、飛距離も打球速度もトップクラスの大谷選手にとっては、関係ないのかもしれません。NHKプロ野球解説の小早川毅彦さんは「体の不安がないからではないか」と指摘しています。

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ひじやひざのけがに悩まされてきた大谷選手ですが、体調さえ万全なら、驚く成績ではないというのです。けがの苦しい期間を含めて、下半身を中心に、徹底的に強化してきたこともプラスに作用しているのではないか、とも話していました。ただこれまではピッチャーとしての登板前後に休みがありましたが、今シーズンは、外野の守備にもつくなど、ほぼ毎日、フル回転でプレーしています。初めての経験で疲労の蓄積が予想される中、どうコンディションを維持するのか、成績とともに注目したいと思います。

(小澤 正修 解説委員)


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