きょうから政府による高齢者への新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が始まります。
Q)会場には自衛官も。そもそも自衛隊が実施する理由というのは?
A)政府が迅速かつ組織的に動員できる医師や看護師がいるというのが大きな理由です。民間の協力も得て、東京では1日で最大1万人、大阪で5000人を接種するとしています。ただこれは、政府が目標とする1日100万人接種の1.5%です。また予約の受け付けは高齢者には苦手な人も多いインターネットのみ。そうした点も踏まえれば、あくまで自治体による接種の補完という側面が大きいと言えます。
Q)その予約では、混乱も出ていますよね?
A)生年月日を誤って入力し修正しようとすると予約できないというケースが起きたほか、実在しない接種券番号でも予約が取れる状態になっていることもわかりました。防衛省は、その理由の1つとして短期間での準備を優先したことをあげています。また今回、懸念として指摘されているのが「二重予約」です。システムが自治体とつながっていないため、すでに自治体で予約していた場合、自分でキャンセルしてもらわないと、ワクチンが無駄になるおそれもあるとしています。菅総理大臣が接種開始を、きょうを目標とするよう指示したのが1か月前。それに間に合わせるのを優先した対応が見受けられます。
Q)接種の方はスムーズにいくのでしょうか?
A)今週は試行期間として接種人数を抑えていて、来週以降1日1万5000人にするとしています。そのためには医師による問診を1人2分ほどで終える必要があるとしていて、問診時間が大幅に延びたり、予約時間通りに来ない人が多数に上ったりすれば、達成できない可能性もあります。またワクチンは、3日前に承認されたばかりのモデルナのものが使われ、都道府県でも大規模接種の実施を決める所が増えています。今回は、それらのモデルケースともなるだけに、どのような課題が浮き彫りとなり、それを今後に生かしていけるかが注目されます。
(田中 泰臣 解説委員)
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