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混迷ミャンマー 市民武装の動きも

藤下 超  解説委員

ミャンマーでは、軍による民主派勢力への弾圧が続き、市民の一部には、武装して軍に対抗する動きも出ています。藤下解説委員です。

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Q。クーデターから3か月あまり経ちましたが、ミャンマーは混迷が続いていますね。

A。軍による弾圧で死亡した市民はこれまでに800人を超えました。
拘束中、拷問によって死亡したとみられるケースも相次いでいます。
これに対し、拘束されているアウン・サン・スー・チー氏率いる政党の議員たちは、「国民統一政府」という組織をつくり、インターネットを通じて活動しています。
今月はじめには、「国民防衛隊」という独自の部隊を結成したと表明しました。

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Q。民主派の人たちの軍隊ということでしょうか。

A。武装して、軍の攻撃から市民を守るとしています。
実際、ミャンマーでは、最近、武装した市民と治安部隊の衝突が相次いでいます。
武装といっても手製の爆弾や猟銃が中心で、軍と正面から戦って、勝てるような力はありません。
北西部の町では、武装した市民に対し、軍が、ヘリコプターや重火器を使って反撃し、多くの死傷者が出た模様です。
それでも、軍による、容赦ない弾圧で一方的に殺害されるくらいなら、武器を取って戦いたいと考える人が、増えているようです。

Q。今後、暴力がエスカレートしないか心配ですね。

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A。ミャンマーでは、もともと少数民族の武装勢力が多く活動していて、軍との間で内戦を続けています。
クーデターのあと、一部の少数民族は弾圧から逃れた市民を保護し、希望する若者には軍事訓練も行っています。
このままでは、少数民族も巻き込んで、暴力の応酬が激しくなる恐れがあり、ASEAN=東南アジア諸国連合は、特使の派遣を通じて、当事者間の対話の仲介に乗り出そうとしています。
事態の悪化を防ぐため、国際社会には、ASEANの仲介外交がより良い方向に進むよう、後押しが求められると思います。

(藤下 超 解説委員)


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