ギリシャやイタリアが外国人旅行者の受け入れを再開し、観光地に賑わいが戻り始めています。ヨーロッパでは夏のバカンスシーズンを前に多くの国が観光客の受け入れに積極的です。
Q1.ギリシャ神話の舞台ですね。
全能の神ゼウスの子、アポロンが矢を射ると疫病が蔓延する、一方で病を癒すとも伝えられます。その力で新型コロナに打ち勝つことができるでしょうか。ギリシャ政府はワクチンを接種したかPCR検査で陰性が証明された53か国の旅行者について入国後の隔離措置を撤廃しました。さっそく15日にはエーゲ海の島々に国際線の旅客機が30機以上着陸、大勢の観光客で賑わいました。53か国はEU加盟国やイギリス、アメリカ、ロシアなどワクチン接種が比較的進んでいる国で、日本は含まれていません。
Q2.ギリシャでは新型コロナの流行はおさまったのですか?
実はまだ感染拡大が続いています。しかし、観光産業がGDP・国内総生産の2割を占め、国民の5人に1人が観光業に携わっているだけに経済立て直しのためにこれ以上国境を閉じているわけにいかないというわけです。観光客受け入れと感染防止の両立が今後の課題です。
イタリアも16日入国制限を緩和し、フランスやスペインも来月にはワクチンを接種した旅行者を受け入れる方針です。ドイツに拠点を置く大手旅行会社は、先月以降旅行の新規予約が2倍に増え、この夏の扱い量はコロナ前の75%まで回復するだろうと期待しています。
Q3.ヨーロッパ以外では観光客の受け入れはどうなっているのですか?
日本は原則外国人の新規入国を認めず、水際対策を強化しています。また、一気に国境を解放するのでなく、まずは近隣の国や地域との往来から始めるところもあります。
たとえばオーストラリアとニュージーランド、シンガポールと香港、それにバルト3国などで、「トラベルバブル」と呼ばれています。自由に行き来できる地域をバブル、泡にたとえた表現で、感染者が減少するにつれこうしたバブルが増えそうです。ただ、人の往来が活発になれば新たな感染拡大が懸念されます。いかに安全に外国人を向かるか、この夏の大きなテーマです。
(二村 伸 解説委員)
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