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米バイデン政権を悩ませる"移民対策"

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ南部のメキシコとの国境に移民希望者が殺到し、バイデン政権は対応に苦慮しているようです。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、ハリス副大統領が鉢巻き姿で気合は十分?
A1)
移民対策をいわば“初仕事”として任されたハリス副大統領。先週メキシコのロペスオブラドール大統領とビデオ会談し、来月はメキシコとグアテマラを自ら訪問する予定です。バイデン政権の発足以来、国境にはアメリカへの入国希望者が急増し、とりわけ子供たちが大人の同伴なしに密入国して保護されるケースが最近は目立つのです。

Q2)
なぜ子供たちだけでアメリカに入国しようとする?
A2)
前のトランプ政権は、コロナ対策を理由に密入国者を直ちに国外退去処分にしましたが、バイデン政権は、“保護者のいない子ども”に限って受け入れを再開したからです。「不法移民」という言葉も敢えて使わず、在留資格などの正式な「書類を持たない移民」と呼び、人道的な対応をアピール。前政権の看板政策だった“国境の壁”も建設を中止しました。しかし、移民希望者が押し寄せて、一部の収容施設は満杯となり、“国境危機の再燃”を懸念する声も出始めています。

Q3)
では、ハリス副大統領はどのように移民対策に取り組むのでしょうか?
A3)
現在の移民希望者の多くは、中央アメリカのグアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスの出身です。この地域は、貧困や治安の悪化、ハリケーンなどの自然災害で大きな打撃を受け、コロナ禍による景気悪化が拍車をかけています。そこで、ハリス副大統領は、こうした国々への開発支援でメキシコや国際機関とも協力し、アメリカに移民しなくても済むように「原因を根本から解決したい」としています。
ただ、野党・共和党は「バイデン政権の対応は手ぬるい」と批判し、この問題を来年の中間選挙に向けて争点にする構えです。ハリス氏自身も、対策が後手にまわれば、バイデン大統領の後継候補として評価に傷がつきかねません。はたして副大統領は“初仕事”で結果を出せるのか?移民対策はバイデン政権の今後の浮沈を左右する可能性もありそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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