新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付けることについて、政府が検討を始めている。
水野倫之解説委員の解説。
新築に義務化検討の太陽光パネルだが一時期より安くはなっているが、平均的なケースで130万円。
ただ自宅で使いきれなかった電気を買い取る制度があり、10数年でもとはとれるとされているが、初期投資が高いことは確か。
そうした値の張るものを義務付け検討の理由は温室効果ガス2030年46%削減など脱炭素化の目標達成のため。
政府は再エネを最大限導入する方針だが、2030年まであと9年しかなく短期間の勝負。
ただ例えば切り札とされる洋上風力は調査や工事に8年かかるなど再エネの多くは時間がかかり、事実上設置が容易な太陽光をどれだけ増やせるかにかかっている。
しかしその太陽光の導入量、伸び悩んでいる。
大規模に設置できる平坦で広い適地が減って、森林を伐採するなど逆に環境破壊だとして地域でトラブルになる例も増え、簡単に増やせなくなってきている。
そこで目を付けたのが住宅の屋根というわけ。
年間40万戸の新築のうち、2割弱にしか設置されておらず、ここにかなりのびしろがあるという見立て。
ただ気になるのは国民負担。国交省の有識者会議では、是非やるべきと言う意見もあるものの、
▽義務化するなら思い切った助成制度が必要とか、
▽そもそも日当たりが悪い立地もあり一律義務化は困難という意見、
▽まずは霞が関の全庁舎にとりつけてから議論すべきなどの意見があり、
簡単に結論が出る感じではない。
ただマイナス46%達成にはあらゆる可能性を検討しなくてはならないというのは確かなので、政府は義務化した場合どれくらい脱炭素化に寄与するのか費用対効果はどうなのか具体的なデータを示し、国民の意見もしっかりきいて検討してもらいたい。
(水野 倫之 解説委員)
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