NHK 解説委員室

これまでの解説記事

40年超原発再稼働 初の地元判断へ

水野 倫之  解説委員

運転開始から40年を超える原発の再稼働にむけた動きについて、水野倫之解説委員の解説。

C210428_0.jpg

福島の事故後40年に制限された原発の運転ですが、
例外的に国の認可を受ければさらに20年運転可能。
今回関西電力はこの例外規定を使って美浜・高浜原発の3基の認可受けて、
古い設備を交換し、再稼働の準備を進め福井県の同意を求めてきた。
そして今回は特に政府が再稼働を強く後押し。
経済産業省の幹部が相次いで地元に入り関係者と会談し、住民説明会も開催。
さらに古い原発を対象に交付金を増額する方針も示して再稼働への協力を求めた。

C210428_2.jpg

背景にあるのは温室効果ガスの2030年46%削減など脱炭素化に向けた目標。
政府は目標達成のためCO2を出さない原発を最大限利用する方針。
しかし事故で信頼が回復しない中、新設は難しく、
40年未満の若い原発も審査に時間がかかっている状況。
そこで古い原発についてもう例外とせず、使えるものは全て使いきっていきたいわけで、
きのうも梶山経済産業大臣が再稼働を強く要請し、
きょう杉本知事が同意を表明するとみられる。

C210428_3.jpg

そうはいっても古い原発、住民説明会では増え続ける使用済み燃料への不安の声が聞かれた。
福井県内の関電の原発のプールはすでに容量の8割が埋まっていて、
3基再稼働すればあと5年でプールが満杯になる原発も。福島の事故で使用済み燃料の危険性も再認識され、
福井県は県外での貯蔵を求めてきたが、関電は場所を確保できず、
問題先送りのままの再稼働の要請で、疑問の声。
政府そして関電は、長期運転の安全性とともに使用済み燃料をどう安全に管理していくのか、
住民の疑問に具体的に答えていくことが求められる。

(水野 倫之 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

水野 倫之  解説委員

こちらもオススメ!