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データ通信急増 どこで管理?

櫻井 玲子  解説委員

デジタル化がすすむ中、インターネットを通じてやりとりされる情報も増えています。その情報をどこで管理するか、保管場所となる「データセンター」にも、関心が寄せられています。櫻井解説委員です。

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Q1 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務も増え、メールやSNSでやりとりしている情報が増えていますが、その情報がどこで保管されているか?というのは、あまり意識していませんでした。

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A1 普通はそうですよね。ただ最近、大手無料通信アプリの「LINE」を使ってやりとりされていた画像など個人情報の一部が、韓国のデータセンターで保管されていたことが明らかになり、波紋を呼びました。コストを理由に海外のデータセンターを使う企業も多い中、「取扱注意の情報は、やはり日本で保管してほしい」という声や、「経済安全保障の観点からも国内でデータは管理するべきだ」という指摘があがっています。そこで次に注目されているのは、果たしてそうした膨大な情報を処理し保存するデータセンターが、十分に整備されているのか?ということなんです。

Q2 データセンターが足りないかもしれない、ということですか?

A2 そうですね、これからは特に足りなくなるかもしれません。

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と言いますのも、スマートフォンなどのモバイル機器を通じてやりとりされているデータの通信量は、この3年間で2倍以上に増えたともいわれています。感染症拡大で、オンライン会議をはじめ、ネットを通じた写真や動画のやりとりが増えているのも理由の一つです。
一方、日本にあるデータセンターはITバブルが起きた2000年代に建てられたものが多く、老朽化がすすんでいます。
デジタル化の加速に伴い、それを支える「インフラの要」であるデータセンターも、増やす必要がありそうです。

Q3 具体的にはどうすればよいのでしょうか?

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A3 データセンターを作るには広い土地や安い電力、それに通信インフラの整備が必要です。このため、政府が各地の自治体と連携しこうした投資を支援することが鍵となりそうです。かつてはこの分野でアジアナンバーワンだった日本も今は、中国に大きく水をあけられています。より多くのデータを国内できちんと管理できるよう、その環境整備が急がれます。

(櫻井 玲子 解説委員)


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