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東芝 買収提案で深まる混乱

関口 博之  解説委員

(桑子)
海外の投資ファンドから買収提案を受けた東芝、そのさなかに社長の辞任・交代となり、混乱が広がっています。
関口解説委員です。投資ファンドが舟で近づいている?

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(関口)
東芝の車谷社長には「助け舟」に見えたかもしれない。
大株主である海外ファンド、いわゆる「物言う株主」から批判を浴びる中、CVCが買収提案をしてきたわけですから。
その中身が、東芝の株式をすべて買い取って「非公開化する」というものだ。

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(桑子)
「物言う株主」の株もまとめて買っちゃうと。

(関口)
そうなれば経営陣には大株主からのプレッシャーもなくなる。
ただ、車谷氏はCVCの日本法人元会長だったので、保身のための筋書き?との疑念を招き、結局辞任することになった。

(桑子)
この先はどうなりそう?

(関口)
CVCが先鞭をつけたのを見て、他の海外ファンドも買収を検討と伝えられ複雑な様相だが、その中で私は、この「株式非公開化の是非」が焦点だと思う。

(桑子)
それはどうして?

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(関口)
これまでの東芝の方針と真逆だから。
東芝は、不正会計問題やアメリカの原発子会社の破綻などで危機にさらされても、歯を食いしばって、株式の上場だけは維持してきた。
それでこそ日本の企業、「日本にきちんと足場を置いた企業」の証だと考えてきたからだ。

(桑子)
東芝が日本を出ていくことはないという約束だと?

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(関口)
そう。これは東芝の事業とも密接にかかわる。
原子力や防衛がよく言われるが、他にも鉄道や航空管制、上下水道など、今の東芝は「社会インフラ」が事業の柱。
日本企業としての信用、顧客との信頼関係で成り立つものばかりだ。

「株式の非公開化」で、そのスタンスを変えるべきではない、という声は東芝の社内外に多い。
ファンドからの詳細提案を今後、受け取った後、東芝経営陣がどう判断するのか、しっかり見ていきたいと思う。

(関口 博之 解説委員)


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