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日米首脳会談 気候変動対策は?

髙橋 祐介  解説委員

日米首脳会談は、気候変動対策が主な議題の一つとなり、温室効果ガスの削減目標で、日米がどこまで歩調を合わせられるかが注目されています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
菅総理大臣との会談を間近に控えているバイデン大統領。登山服姿で誰に電話している?
A1)
気候変動問題を担当し、現在、中国の上海を訪れているケリー特使です。バイデン政権は来週“気候変動サミット”をオンライン形式で開催する予定です。日本のほか、世界最大の温室効果ガスの排出国である中国など、40か国以上を招待し、いわば「一緒に山を登りましょう」と協力を働きかけているのです。しかし、今のところ中国は、対応の詳細を明らかにしていません。

Q2)
バイデン大統領は中国にも一緒に山を登って欲しい?
A2)
そのとおりです。日米は、2050年までに、それぞれ温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げています。ただ、世界全体が、そうした“カーボンニュートラル”の山頂に到達するためには、中国の参加と協力が不可欠です。しかし中国は「先進諸国による取り組みが先決だ」との立場で、率先して動こうとしません。このため、バイデン政権は、山の中腹にある2030年までの削減目標を引き上げることで、「われわれはここまで先に登っていますよ」と中国側をけん制しているのです。

Q3)
アメリカは、2030年までの削減目標をどこまで引き上げる?
A3)
まさにそれが、今回の日米首脳会談でも話しあわれる見込みです。バイデン政権は、2030年までに、排出量を50%前後削減するという、いわば“急こう配の最短ルート”を検討しています。これに対して、日本は、2030年までに、排出量を2013年より26%削減するという“もっと緩やかに見える道”を登ろうとしていましたので、現在の削減目標の引き上げを迫られます。日米が足並みの乱れを露呈すれば、中国に積極的な対応を迫ることも難しくなりかねません。
はたして日米は、どこまで歩調を合わせて、気候変動対策をリードできるのか?今回の日米首脳会談で、脱炭素化への取り組みの本気度を試されることになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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