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地価下落 広がるコロナの影響

今井 純子  解説委員

きのう公表された地価公示について今井解説委員とお伝えします。

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Q)全体ではマイナス0.8%と下落していますが、地域によって、ばらつきもあるようですね。
A)そうなのです。こちらは経済活動の活発さを示す、商業地の数字ですが、ホテルや飲食店向けの需要が減って、7年ぶりの下落でした。大都市を中心にコロナが経済に大きな影響を与えたことが地価からもうかがえます。特に、大阪、京都、奈良など、外国人観光客向けの施設が多い地域では、去年の大幅な上昇から一転。大きく下がりました。

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一方、いわゆる巣ごもり需要で、ネット通販向けの物流拠点。それに、人が密集する都心部を避けたいという需要で、軽井沢などの別荘地では、去年を上回る上昇率を示す地点も出ています。

Q)札幌や福岡も、外国人観光客が多い地域ですが、上昇していますね。
A)こうした地域の中核都市は、人口が増えていることもあって、コールセンターやIT拠点、それにマンションなどの需要が根強くあります。また、東京などと比べると、テレワークによるオフィス縮小の動きも限定的とみられ、10%を超えた去年より勢いは落ちていますが、まだ、上昇が続いています。さらに、千葉など東京周辺の都市。それに、再開発が進んでいる地方都市でも、遠出を避けて地元で買い物をする人が増えたり、マンション需要が底堅いことなどから、上昇を保っているところもあって、地域や用途によってばらつきがあるのです。

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Q)今後はどうなるのでしょうか?
A)オリンピック、パラリンピックで海外からの観客の受け入れを断念したこともあり、外国人観光客向けの需要がすぐに、元の水準に戻ることは期待できないかもしれません。今後は、ワクチンの普及で、いかに、安心して、国内の移動や外食ができるようになるのか。また、それだけでなく、コロナ禍で進んでいる働き方の変化で、オフィスの需要や住む場所がどう変わるのか。さらに、ネット通販やオンライン接客などで消費のしかたがどこまで変わるのか。

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そうした点も今後の地価の動向に大きな影響を与えるようになるのではないかと思います。

(今井 純子 解説委員)

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