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失態続きの東電 セキュリティーは'最悪'

水野 倫之  解説委員

東京電力の柏崎刈羽原発で他人のIDの不正使用に続いて防護設備の不備も明らかになり、地元からの批判がさらに強まっている。水野倫之解説委員の解説。

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不祥事続きの東電、より深刻で重大な事態が明らかに。
原発はウランなどの核物質を扱い事故のリスクもあるので、悪意ある第3者が絶対に侵入できないようにしなければ。法令でセンサー付きのフェンスやゲート、監視カメラなど何重もの防護設備が義務付け。
しかし規制委員会が柏崎刈羽原発を調べたところ、去年3月以降10か所以上の設備が故障し、侵入を許すおそれが続いていたことが確認。

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規制委員会はセキュリティー上どんな設備が故障していたのかは言えないというが、こうした状態は3年前から相次いでいたとみられ、4段階評価で‘最悪’と認定。

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東電は代替の措置をしたので問題ないと説明していたが、規制委が現場確認したところ「誰が見てもお粗末なもの」だったということ。
しかも現場の警備担当の社員はその「代替措置に実効性がないと認識していた」と話している。
ID不正使用も問題だったがこの時は社員だった。
これに対して、今回はテロリストなどが侵入する脅威に実際にさらされていたわけで、より重大。
東電は安全管理体制のずさんさを深刻に受け止めなければ。

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地元は続く失態にあきれかえっていて、新潟県の花角知事は「東電の管理能力にますます疑問符が付く重大な事態だ」と述べ、信頼は完全に失墜。
東電は7号機の再稼働を目指しているが、失態続きの今、再稼働を議論する段階にないことをまず認識しなければ。
そして現場が実効性がないというのになぜお粗末な対策となったのか根本原因を明らかにし、核セキュリティーについての社員教育を一からやり直すなどして、安全管理態勢を再構築していくことが求められる。

(水野 倫之 解説委員)


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