震度6強を観測した福島沖の地震では150人以上がけがをしたのをはじめ被害が広がっています。今後、余震などにどういう注意が必要なのか、松本解説委員に聞きます。
Q) 東日本大震災からまもなく10年というときにまた大きな地震が起きましたね。
A)
東北の太平洋側は過去、繰り返し大きな地震が起きています。超巨大地震だった東日本大震災のあと、地震の起こりやすさがどう変わったのか政府の地震調査委員会が「長期評価」を示していました。
今後30年間にマグニチュード7から7.5程度の大地震が起こる確率が全体では90パーセントとなっていました。
さらに6つのブロックごとの確率も示していて、今回、発生した福島県沖は50パーセントとされていました。
Q)今回、大きな地震が起きたので、その確率が下がるのでしょうか?
A)
そうではなく、むしろ起こりやすくなるという解析結果もあります。
この地域は海側のプレートが陸側のプレートの下に潜り込んでいて、引きずり込まれたプレートが跳ね返り、赤の境界部分がずれ動くことで地震が繰り返されてきた。
50%というのはこの地震の確率です。
しかしおとといの地震はこれではなく、もっと深いところで起きた別の種類の地震。
プレート境界はずれ動いていないのでひずみ=地震のエネルギーはたまったままです。
それだけでなく専門家の解析で、今回の地震で深いところの地盤がずれ動いたことで、
上部のプレート境界付近に力が加わって、プレート境界で地震がさらに起こりやすくなった可能性があるという結果も出ているのです。
Q)むしろ、より注意が必要ということですか?
A)
そうです。まず今回の地震自体がマグニチュード7.3と大きなもので、地震調査委員会や気象庁は今後1週間程度、同じくらいの揺れの余震に注意するよう呼びかけています。加えて長期的にも大きな地震が起こりやすくなった可能性があると考えて地震への備えを進める必要があります。
(松本 浩司 解説委員)
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